大柳川渓谷と十谷温泉
梅雨なのに「水無月」とは、これ、いかに、、、。
ふと思い立ち、富士川の支流、甲斐源氏の祖「源義光(新羅三郎義光)」の居城があったと伝えられる
源氏山を源とする大柳川渓谷(山梨県南巨摩郡富士川町(旧鰍沢町))をハイクしてきました。
仕事を夕方早めに切り上げて、道具をパッキングして車に飛び乗ります。
R52を北に走り、身延を越えて少し行ったところで、十谷入り口「県道十谷・鬼島線」に入ります。
そして15分程走り、大柳川渓流公園入り口をまがります。ここは、細くてかなり急な下り坂です。
途中、「蜂の巣注意」と書かれた看板もあったりします。
大柳川渓流公園に到着。キャンプする場所は、草も刈ってあってきれいに手入れされていますが、
基本的に使われている様子がまったくありません。水は、湧き水がひかれているのでそれが使えますが、
トイレは、使用禁止になっていました。
まるでここの存在が、忘れさられているかの様に誰もいません。
管理小屋には、「ご利用は無料ですが、使用の旨ご一報下さい。」と電話番号が書かれた張り紙が、、、。
一応、電話してみましたが、案の定、携帯電話は圏外でした。
聞こえるのは、渓流のせせらぎ、鳥のさえずり、虫の鳴き声、風に揺られる木々の葉の音、、、。
テントの中って、すごい大好き、、。心躍ります。。

朝、目を覚ますといい天気でした。暑くなりそう。朝食を食べ、さっそくハイクします。
下流から、十谷温泉の一番奥にある源氏荘まで上ります。
大柳川渓流公園の少しうえにパーキングがあり、そこに、遊歩道入り口があります。

ここは、大小様々な滝が点在し、ユニークなつり橋がいくつもあります。コースもハードではなく、
気軽にハイキングって感じで、ゆっくり歩いても2時間弱ってとこですか。。
竜神橋は、階段のつり橋で、途中に踊り場があります。。

遊歩道の両側から、大岩が寄り添う様にせり出す「夫婦岩」

渓流の流れを、見ながら歩きます。やっぱり、誰もいません。。

竜仙橋は、階段を上って、コーナーを曲がるというつり橋です。。。

竜仙橋を渡り、天狗橋の方にコースを取り、滝めぐりをします。
この先には「幻の滝」があり、ぜひ見たかったのですが、なんと、、、山崩れで行けませんでした。
かなり、山、、崩れてました、、、。まさに「幻の滝」になったわけです。
そして天渕橋の渡り口で、まむしに遭遇。いろいろな生物に会うのは、なににしろうれしいですね。
僕らが、彼らの生活の場所に入り込んでいるので、邪魔しない様にそっと避けて通ります。

観音滝です。滝が見える東屋があり、ここでランチ。。
落差もあって、美しい滝です。幾重にも重なりあった新緑の葉も、陽の光に透かされて、
美しい緑のグラデェイションをその空間に浮かび上がらせます。

観音滝を過ぎ、もみじ橋を渡ると、渓谷遊歩道も十谷荘の脇に出てここから車道になります。
そして、山を見ながらしばらく歩いていくと、「源氏荘」があります。

「白根館別館 十谷上湯温泉 源氏の湯」となっています。
白根館(南巨摩郡早川町)は、早川を36Km程遡った最後の集落、奈良田に湧く七不思議の湯の宿です。

レセプションで、一人1000円を払い、離れになっている渓流露天風呂へ。混浴なので夫婦で入れます。
女性は、入浴用のワンピースの様な着物を貸してくれるので、他の人がいても大丈夫です。宿の中を抜けて、
「夕霧橋」という一人づつ渡ってくださいと書かれたつり橋を渡ります。揺れが楽しく、心地いいです。
露天風呂と、かじかの大岩風呂があり、渓流を眺めながら入れる雰囲気のある気持ちのいいお風呂です。
泉質は、カルシウム・ナトリウム・塩化物泉 (低張性アルカリ性低温泉) PH8.6 湧出量 約88.8L/m
泉温は、約31.3℃ 源泉100%掛け流し だそうです。
僕ら以外誰もいなかったので、お風呂の写真を撮ろうとしたら、ここでバッテリーがなくなりました。
予備は、もちろん忘れてきたので、ここからは写真はありません。残念です。。すいません。。。
まず、熱交換による加温源泉100%掛け流しの露天に入ります。清流の眺め、せせらぎ、鳥の歌声、
天気もよくて、本当に気持ちいいです。よく暖まったら、大岩風呂へ。こっちは、大きな岩の下に湯船があり、
洞窟の様な雰囲気です。加温しない源泉100%掛け流しなので、お湯はぬるく、この時期は入る時
少し覚悟がいります。しょっぱくて、温泉臭のするお湯です。交互にはいって楽しみます。
肌もしっとりさらさら、気持ちも体も軽くなり、いいお風呂でした。
帰りは車道を下り、十谷集落の中を散策します。実は、ここからが今回の楽しみ。
友人から「十谷集落、すごくいいよ。」と聞いていました。
カメラのバッテリー切れが悔やまれます、、、。
その家並み、景観、雰囲気、時間感覚、しっかり僕らの心に、刻まれています。
ここは、たまらなく好きです。
ここの歴史は古く、江戸時代末期には、既に個数九十七戸の山村だったそうです。
十谷峠越えの山道は、早川への生活物資輸送の要であり、また富士川に沿う駿信住環の脇道としても
重要なルートであったようです。山仕事や富士川舟運、商いで繁栄したのでしょう。
「十谷村七面堂」は、その繁栄と歴史、文化を感じさせますし、十谷那賀天神社例祭(3月25日)に
ふまれる祝舞「十谷三番鼠」は、無形民俗文化財に指定され、「みみ」という郷土料理も伝わっています。
石畳があり、歴史を感じる立派で素晴らしい古民家が立ち並びます。入り口の門、そこから続く塀、
昔ながらの木、土、漆喰で建てられた立派な家、窓の木製の枠にも細工がしてあります。
そして、周りを山に囲まれ、ロケィションも最高です。
が、しかし、、、時間、時代の移り変わりの影響は、常にどこでも受けます。薪などから化石燃料への
エネルギーの変革、車を中心とした輸送、交通手段の変化など、、、。
十谷集落もそれとともに衰退し、人が離れていったのでしょう。
現在、見たところ半数ぐらいは、空き家になっています。その深い軒先で、山で採れたクルミをざるで干し、
ご近所さんとそこに腰掛け、話し、将棋など指していたかもしれません。奥床しい雰囲気の「鈴鹿神社」。
神社があれば、祭りもあるでしょう。ここの時間の流れの中で、いろいろな人の生き方、
人生の軌跡があったでしょう。ゆっくり散策していると、いろんな思いがはせります。
畑には多くの作物が植えてありますし、実ってもいます。そこには、人々の生活があります。
現在、住んでいる方の多くは、ほぼ自給自足ではないかと、僕は、思います。
山深い自然に囲まれ、自然の営みをその五感で感じ、自分もそこの一部である事を認識し、
そこのリズムで生きる。素晴らしい場所で、素晴らしい生き方だと思いますが、
現実は大変過ぎるのかもしれません。その家を、その土地を継ぐ者はなく、
ただ少しずつ人がいなくなっていく。そして、住む者を失った家は、ただ朽ちていく。
集落の下の方には、もう誰も使わなくなったと思われるプールがあります。学校で使われていたのか、、、
男子、女子と書かれた更衣室、屋根のかかったベンチ、まるで、人だけが忽然と姿を消したかのようです。
子供たちが、そこではしゃぎ、笑い、プールサイドを走り、陽の光に照らされ青く輝く水の中で泳ぎを
楽しんでいたのでしょう。目を閉じれば、その声が聞こえてきそうです。
今は、鳥のさえずりだけが、その静かな場所に響き渡ります、、、。
美しい山、渓流、温泉、心に深く感じる集落。素晴らしい場所です。また来ます。
'10/6/10
ステンドグラス工房 スタジオブリス
ふと思い立ち、富士川の支流、甲斐源氏の祖「源義光(新羅三郎義光)」の居城があったと伝えられる
源氏山を源とする大柳川渓谷(山梨県南巨摩郡富士川町(旧鰍沢町))をハイクしてきました。
仕事を夕方早めに切り上げて、道具をパッキングして車に飛び乗ります。
R52を北に走り、身延を越えて少し行ったところで、十谷入り口「県道十谷・鬼島線」に入ります。
そして15分程走り、大柳川渓流公園入り口をまがります。ここは、細くてかなり急な下り坂です。
途中、「蜂の巣注意」と書かれた看板もあったりします。
大柳川渓流公園に到着。キャンプする場所は、草も刈ってあってきれいに手入れされていますが、
基本的に使われている様子がまったくありません。水は、湧き水がひかれているのでそれが使えますが、
トイレは、使用禁止になっていました。
まるでここの存在が、忘れさられているかの様に誰もいません。
管理小屋には、「ご利用は無料ですが、使用の旨ご一報下さい。」と電話番号が書かれた張り紙が、、、。
一応、電話してみましたが、案の定、携帯電話は圏外でした。
聞こえるのは、渓流のせせらぎ、鳥のさえずり、虫の鳴き声、風に揺られる木々の葉の音、、、。
テントの中って、すごい大好き、、。心躍ります。。


朝、目を覚ますといい天気でした。暑くなりそう。朝食を食べ、さっそくハイクします。
下流から、十谷温泉の一番奥にある源氏荘まで上ります。
大柳川渓流公園の少しうえにパーキングがあり、そこに、遊歩道入り口があります。

ここは、大小様々な滝が点在し、ユニークなつり橋がいくつもあります。コースもハードではなく、
気軽にハイキングって感じで、ゆっくり歩いても2時間弱ってとこですか。。
竜神橋は、階段のつり橋で、途中に踊り場があります。。


遊歩道の両側から、大岩が寄り添う様にせり出す「夫婦岩」

渓流の流れを、見ながら歩きます。やっぱり、誰もいません。。

竜仙橋は、階段を上って、コーナーを曲がるというつり橋です。。。

竜仙橋を渡り、天狗橋の方にコースを取り、滝めぐりをします。
この先には「幻の滝」があり、ぜひ見たかったのですが、なんと、、、山崩れで行けませんでした。
かなり、山、、崩れてました、、、。まさに「幻の滝」になったわけです。
そして天渕橋の渡り口で、まむしに遭遇。いろいろな生物に会うのは、なににしろうれしいですね。
僕らが、彼らの生活の場所に入り込んでいるので、邪魔しない様にそっと避けて通ります。

観音滝です。滝が見える東屋があり、ここでランチ。。
落差もあって、美しい滝です。幾重にも重なりあった新緑の葉も、陽の光に透かされて、
美しい緑のグラデェイションをその空間に浮かび上がらせます。

観音滝を過ぎ、もみじ橋を渡ると、渓谷遊歩道も十谷荘の脇に出てここから車道になります。
そして、山を見ながらしばらく歩いていくと、「源氏荘」があります。

「白根館別館 十谷上湯温泉 源氏の湯」となっています。
白根館(南巨摩郡早川町)は、早川を36Km程遡った最後の集落、奈良田に湧く七不思議の湯の宿です。

レセプションで、一人1000円を払い、離れになっている渓流露天風呂へ。混浴なので夫婦で入れます。
女性は、入浴用のワンピースの様な着物を貸してくれるので、他の人がいても大丈夫です。宿の中を抜けて、
「夕霧橋」という一人づつ渡ってくださいと書かれたつり橋を渡ります。揺れが楽しく、心地いいです。
露天風呂と、かじかの大岩風呂があり、渓流を眺めながら入れる雰囲気のある気持ちのいいお風呂です。
泉質は、カルシウム・ナトリウム・塩化物泉 (低張性アルカリ性低温泉) PH8.6 湧出量 約88.8L/m
泉温は、約31.3℃ 源泉100%掛け流し だそうです。
僕ら以外誰もいなかったので、お風呂の写真を撮ろうとしたら、ここでバッテリーがなくなりました。
予備は、もちろん忘れてきたので、ここからは写真はありません。残念です。。すいません。。。
まず、熱交換による加温源泉100%掛け流しの露天に入ります。清流の眺め、せせらぎ、鳥の歌声、
天気もよくて、本当に気持ちいいです。よく暖まったら、大岩風呂へ。こっちは、大きな岩の下に湯船があり、
洞窟の様な雰囲気です。加温しない源泉100%掛け流しなので、お湯はぬるく、この時期は入る時
少し覚悟がいります。しょっぱくて、温泉臭のするお湯です。交互にはいって楽しみます。
肌もしっとりさらさら、気持ちも体も軽くなり、いいお風呂でした。
帰りは車道を下り、十谷集落の中を散策します。実は、ここからが今回の楽しみ。
友人から「十谷集落、すごくいいよ。」と聞いていました。
カメラのバッテリー切れが悔やまれます、、、。
その家並み、景観、雰囲気、時間感覚、しっかり僕らの心に、刻まれています。
ここは、たまらなく好きです。
ここの歴史は古く、江戸時代末期には、既に個数九十七戸の山村だったそうです。
十谷峠越えの山道は、早川への生活物資輸送の要であり、また富士川に沿う駿信住環の脇道としても
重要なルートであったようです。山仕事や富士川舟運、商いで繁栄したのでしょう。
「十谷村七面堂」は、その繁栄と歴史、文化を感じさせますし、十谷那賀天神社例祭(3月25日)に
ふまれる祝舞「十谷三番鼠」は、無形民俗文化財に指定され、「みみ」という郷土料理も伝わっています。
石畳があり、歴史を感じる立派で素晴らしい古民家が立ち並びます。入り口の門、そこから続く塀、
昔ながらの木、土、漆喰で建てられた立派な家、窓の木製の枠にも細工がしてあります。
そして、周りを山に囲まれ、ロケィションも最高です。
が、しかし、、、時間、時代の移り変わりの影響は、常にどこでも受けます。薪などから化石燃料への
エネルギーの変革、車を中心とした輸送、交通手段の変化など、、、。
十谷集落もそれとともに衰退し、人が離れていったのでしょう。
現在、見たところ半数ぐらいは、空き家になっています。その深い軒先で、山で採れたクルミをざるで干し、
ご近所さんとそこに腰掛け、話し、将棋など指していたかもしれません。奥床しい雰囲気の「鈴鹿神社」。
神社があれば、祭りもあるでしょう。ここの時間の流れの中で、いろいろな人の生き方、
人生の軌跡があったでしょう。ゆっくり散策していると、いろんな思いがはせります。
畑には多くの作物が植えてありますし、実ってもいます。そこには、人々の生活があります。
現在、住んでいる方の多くは、ほぼ自給自足ではないかと、僕は、思います。
山深い自然に囲まれ、自然の営みをその五感で感じ、自分もそこの一部である事を認識し、
そこのリズムで生きる。素晴らしい場所で、素晴らしい生き方だと思いますが、
現実は大変過ぎるのかもしれません。その家を、その土地を継ぐ者はなく、
ただ少しずつ人がいなくなっていく。そして、住む者を失った家は、ただ朽ちていく。
集落の下の方には、もう誰も使わなくなったと思われるプールがあります。学校で使われていたのか、、、
男子、女子と書かれた更衣室、屋根のかかったベンチ、まるで、人だけが忽然と姿を消したかのようです。
子供たちが、そこではしゃぎ、笑い、プールサイドを走り、陽の光に照らされ青く輝く水の中で泳ぎを
楽しんでいたのでしょう。目を閉じれば、その声が聞こえてきそうです。
今は、鳥のさえずりだけが、その静かな場所に響き渡ります、、、。
美しい山、渓流、温泉、心に深く感じる集落。素晴らしい場所です。また来ます。
'10/6/10
ステンドグラス工房 スタジオブリス
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