銀山温泉
以前、若者だった頃は、サーフボード、スノーボード、バックパック一つが全財産。数ヶ月、海、山にこもり、思い立ったら、ふらりと旅に出て、数週間行方不明なんて生活でした。現在では、仕事、家族があるので、そんな生活はしていられませんが、やはり不意に何処かに行きたくなります。
昨今、日本の風景は画一的になりつつあり、特に、幹線道路沿いなどは、大手チェーン店、モールなどが立ち並び、地域の特色が薄く、全国さして変わらない景色をつくっていると思います。日本にいるのに、日本らしさを探さなければならないとは、残念な気持ちになりますが、良い場所は、探して行きます。
「銀山温泉」に行ってきました。山形県尾花沢市にあります。西瓜、「おしん」等で有名な所です。
初雪が大雪になり、紅葉が白く雪に覆われるという美しい景色に恵まれました。
行きの道路は、完全に冬の雪道でした。

寛永年間に、延沢銀山の工夫が銀山川の中に温泉が湧いているのを発見したそうです。1686年に銀山が閉山、その後、湯治場として賑わったが、1913年の大洪水により温泉街は壊滅、その後、復興、当時としては非常にモダンな三層、四層の木造建築、外壁には鏝絵が施された素晴らしい外観の旅館が並びます。川には多くの橋がかかり、ガス灯が並ぶ大正浪漫を色濃く残す良い湯治場です。

今夜の宿は、こちらの「能登屋」。大正14年(1924年)頃建てられ、国登録有形文化財に指定されています。外壁の鏝絵は、左官職人の後藤市蔵氏(昭和7年作)、建物向かって左側には、「富士と三保の松原」、右側には、 鳳凰と桐の装飾の中央には銀山開拓の祖である「木戸佐左ェ門」の名が記されています。

部屋に通されると、床の間には、「安藤広重 東海道五十三次 蒲原」の絵皿が置いてありました。靜岡から来ている僕らへの計らいかな?
夕食は、部屋出しで、地元食材のとても美味しい料理でした。海辺育ちの僕らには、川魚、山菜、ズガニ等の山の料理がとてもうれしいです。男女別の内湯、貸切洞窟風呂、半露天の貸切天空風呂があります。
天空風呂は、チェックイン時に時間を予約します。景色、泉質も良く、しかも雪見風呂。
ほとんど無色ですが、ごく薄く白濁、硫黄臭のするお湯です。湯花もちらちら漂っています。
源泉温度が高い為、沢水を加水していますが、かけ流しです。
泉質は、ナトリウムー塩化物・硫酸塩温泉(低張性中性高温泉)
源泉の温度は、63,1℃ 併用場所での温度は、42,4℃
水素イオン濃度(pH)が、6,6

ガス灯に照らされた風情たっぷりの雪の銀山温泉を散策しました。各宿には、創業者の名前が壁等に書いてあるようです。
翌朝、朝食は別室でいただきます。いつも思うのですが、東北って、ものすごくお米が美味しい。自分たちの地元で食べるそれとはまったく違い、本当に美味しい。朝からたくさんおかわりしてしまいました。



上流に歩いて行くと「白銀の滝」があります。落差20m強の滝で上部で2手に別れています。滝周囲には鬼子母神や延命寺、滝の不動などがあり信仰の対象となっていたようです。


「銀鉱洞(延沢銀山)」まで行きたかったのですが、雪で行けませんでした。

二泊目は「昭和館」。
部屋は、川側にしました。風情のある景観です。

夕食は、別室個室でした。岩魚、鮎、山形牛のローストビーフ、そして最上川で採れたモズクガニの味噌汁、
美味しかった、本当に美味しかったです。大満足の料理でした。
こちらは、男女別内湯と最上階にある時間男女別の天空風呂があります。
天空風呂では、昨夜泊まった能登屋、他の風情ある宿を見下ろしながらお湯に浸かります。
泉質は、含硫黄ーナトリウムー塩化物・硫酸塩温泉
源泉の温度は、60,6℃ 併用場所での温度は、42,0℃
水素イオン濃度(pH)が、6,8
源泉かけ流しです。


歴史、風情のある良い泉質の湯治場、風格、品位のある旅館が建ち並び、ガス灯の灯る大正浪漫の銀山温泉。良い旅ができました。周辺は、とても景色が良く、ブラブラしながら足湯に浸かったり、トレッキング気分で川を上流に歩いても良いと思います。また、来たいです。

さて、雪に覆われた田園風景の中を、西に向かって帰りましょう。

12,13,14/11/'13
ステンドグラス工房 スタジオブリス
昨今、日本の風景は画一的になりつつあり、特に、幹線道路沿いなどは、大手チェーン店、モールなどが立ち並び、地域の特色が薄く、全国さして変わらない景色をつくっていると思います。日本にいるのに、日本らしさを探さなければならないとは、残念な気持ちになりますが、良い場所は、探して行きます。
「銀山温泉」に行ってきました。山形県尾花沢市にあります。西瓜、「おしん」等で有名な所です。
初雪が大雪になり、紅葉が白く雪に覆われるという美しい景色に恵まれました。
行きの道路は、完全に冬の雪道でした。


寛永年間に、延沢銀山の工夫が銀山川の中に温泉が湧いているのを発見したそうです。1686年に銀山が閉山、その後、湯治場として賑わったが、1913年の大洪水により温泉街は壊滅、その後、復興、当時としては非常にモダンな三層、四層の木造建築、外壁には鏝絵が施された素晴らしい外観の旅館が並びます。川には多くの橋がかかり、ガス灯が並ぶ大正浪漫を色濃く残す良い湯治場です。

今夜の宿は、こちらの「能登屋」。大正14年(1924年)頃建てられ、国登録有形文化財に指定されています。外壁の鏝絵は、左官職人の後藤市蔵氏(昭和7年作)、建物向かって左側には、「富士と三保の松原」、右側には、 鳳凰と桐の装飾の中央には銀山開拓の祖である「木戸佐左ェ門」の名が記されています。

部屋に通されると、床の間には、「安藤広重 東海道五十三次 蒲原」の絵皿が置いてありました。靜岡から来ている僕らへの計らいかな?
夕食は、部屋出しで、地元食材のとても美味しい料理でした。海辺育ちの僕らには、川魚、山菜、ズガニ等の山の料理がとてもうれしいです。男女別の内湯、貸切洞窟風呂、半露天の貸切天空風呂があります。
天空風呂は、チェックイン時に時間を予約します。景色、泉質も良く、しかも雪見風呂。
ほとんど無色ですが、ごく薄く白濁、硫黄臭のするお湯です。湯花もちらちら漂っています。
源泉温度が高い為、沢水を加水していますが、かけ流しです。
泉質は、ナトリウムー塩化物・硫酸塩温泉(低張性中性高温泉)
源泉の温度は、63,1℃ 併用場所での温度は、42,4℃
水素イオン濃度(pH)が、6,6


ガス灯に照らされた風情たっぷりの雪の銀山温泉を散策しました。各宿には、創業者の名前が壁等に書いてあるようです。
翌朝、朝食は別室でいただきます。いつも思うのですが、東北って、ものすごくお米が美味しい。自分たちの地元で食べるそれとはまったく違い、本当に美味しい。朝からたくさんおかわりしてしまいました。




上流に歩いて行くと「白銀の滝」があります。落差20m強の滝で上部で2手に別れています。滝周囲には鬼子母神や延命寺、滝の不動などがあり信仰の対象となっていたようです。


「銀鉱洞(延沢銀山)」まで行きたかったのですが、雪で行けませんでした。


二泊目は「昭和館」。
部屋は、川側にしました。風情のある景観です。

夕食は、別室個室でした。岩魚、鮎、山形牛のローストビーフ、そして最上川で採れたモズクガニの味噌汁、
美味しかった、本当に美味しかったです。大満足の料理でした。
こちらは、男女別内湯と最上階にある時間男女別の天空風呂があります。
天空風呂では、昨夜泊まった能登屋、他の風情ある宿を見下ろしながらお湯に浸かります。
泉質は、含硫黄ーナトリウムー塩化物・硫酸塩温泉
源泉の温度は、60,6℃ 併用場所での温度は、42,0℃
水素イオン濃度(pH)が、6,8
源泉かけ流しです。



歴史、風情のある良い泉質の湯治場、風格、品位のある旅館が建ち並び、ガス灯の灯る大正浪漫の銀山温泉。良い旅ができました。周辺は、とても景色が良く、ブラブラしながら足湯に浸かったり、トレッキング気分で川を上流に歩いても良いと思います。また、来たいです。

さて、雪に覆われた田園風景の中を、西に向かって帰りましょう。

12,13,14/11/'13
ステンドグラス工房 スタジオブリス
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みちのく 秋田路 Day 4
「黒湯温泉」をあとにし、盛岡ICから東北自動車道を南へ下ります。静岡まで一気に帰るのは辛かったので、途中、白石ICで降り、宮城県白石市へ。
宮城県の最南端に位置する白石市は、鎌倉時代から室町時代まで、刈田郡を治める豪族、白石氏が支配し、伊達62万石、仙台藩の南を守る要所として、慶長7年(1602年)伊達政宗の側近である「片倉景綱(小十郎)」が入城、以降明治維新まで260余年、片倉氏の城下町として栄えました。
その白石城の北西、「弥治朗こけし」のふる里、蔵王連邦の山麓の小さな谷あいにある「鎌先温泉」へ。

「鎌先温泉」は、谷あいに5件の宿が点在し、四件の宿は、現在も古地図のままの配置で軒を連ねます。「奥羽の薬湯」として知られる名湯で、伊達政宗や片倉景綱(小十郎)も入湯したと伝えられる、湯治場として栄えた温泉です。正長元年(1428年)山中にて、きこりが水を求めて沢辺に下り、岩の下から湯気が立っているのに気づいて、持っていた鎌の先でその岩の下を突くと温泉が湧き出した事から「鎌先温泉」と呼ばれるようになったとのことです。ここで一番古い宿「湯主一条」には、この鎌先が伝承されています。
本当に小さな谷あいにあり、のんびりとした静かな温泉場です。鎌先温泉バス停の待合室は、「鎌先温泉文庫」として、絵本から、星野道夫、司馬遼太郎まであり、なんだか気持ちが暖かくなります。

今夜の宿は、寛永元年(1624年)創業の「最上屋旅館」。鎌先温泉の中でもひときわ目立つ木造3階立ての、歴史を感じさせる風格のある純和風の建築です。今でも湯治客が多く訪れるそうで、旅館部と自炊部があります。


宿の中も清潔で渋く、木のもつ特有のぬくもりが伝わるようで、部屋の天井などの造作も素晴らしいです。部屋に膳で出される食事も風情があり、たいへん美味しかったです。
お風呂は、湯質にこだわり露天風呂を持たず、3つの内湯のみです。
「三宝風呂」-泉質:ナトリウム-塩化物.硫酸塩泉(低張性中性温泉) 泉温:約36.0℃ Ph:6.7 加温していますが、100%源泉かけ流しだそうです。黄土色のにごり湯で、しょっぱい鉄の味、ぬるめの湯温ですが、よく温まり湯ざめしないお湯でした。

白石市には、現在「白石和紙工房」のみで漉かれる「白石和紙」が伝わります。ふくよかに、きよく、うるわしいと平安期の昔、清少納言にも愛用された「陸奥紙」の良質を受け継ぐ白石和紙は、江戸時代に特産品として発展し、表装、書画、写経紙用としてだけでなく、紙子、紙布織としてもその真価を発揮、日本紙利用の最高峰と称されます。
第二次世界大戦、昭和20年(1945年)日本が降伏したとき、戦艦ミズーリでの降伏文書に使われたのは、この白石和紙ですし、また、東大寺の修二会(お水取り)で練行衆が着用する紙衣は、昭和48年(1973年)より白石和紙工房が納めたものを使っています。仕事を見学させていただきたいと思い、寄りましたが、残念ながら工房は休みでした。しかし、遠藤さんとゆっくり話せ、和紙も手に入れて、いろいろ話しを聞くことが出来ました。ありがとうございます。
東北のたおやかな山、古くからの湯治場、人のやさしさに触れ、ゆっくりと暖かい素敵な旅でした。

ステンドグラス工房 スタジオブリス
宮城県の最南端に位置する白石市は、鎌倉時代から室町時代まで、刈田郡を治める豪族、白石氏が支配し、伊達62万石、仙台藩の南を守る要所として、慶長7年(1602年)伊達政宗の側近である「片倉景綱(小十郎)」が入城、以降明治維新まで260余年、片倉氏の城下町として栄えました。
その白石城の北西、「弥治朗こけし」のふる里、蔵王連邦の山麓の小さな谷あいにある「鎌先温泉」へ。

「鎌先温泉」は、谷あいに5件の宿が点在し、四件の宿は、現在も古地図のままの配置で軒を連ねます。「奥羽の薬湯」として知られる名湯で、伊達政宗や片倉景綱(小十郎)も入湯したと伝えられる、湯治場として栄えた温泉です。正長元年(1428年)山中にて、きこりが水を求めて沢辺に下り、岩の下から湯気が立っているのに気づいて、持っていた鎌の先でその岩の下を突くと温泉が湧き出した事から「鎌先温泉」と呼ばれるようになったとのことです。ここで一番古い宿「湯主一条」には、この鎌先が伝承されています。
本当に小さな谷あいにあり、のんびりとした静かな温泉場です。鎌先温泉バス停の待合室は、「鎌先温泉文庫」として、絵本から、星野道夫、司馬遼太郎まであり、なんだか気持ちが暖かくなります。


今夜の宿は、寛永元年(1624年)創業の「最上屋旅館」。鎌先温泉の中でもひときわ目立つ木造3階立ての、歴史を感じさせる風格のある純和風の建築です。今でも湯治客が多く訪れるそうで、旅館部と自炊部があります。



宿の中も清潔で渋く、木のもつ特有のぬくもりが伝わるようで、部屋の天井などの造作も素晴らしいです。部屋に膳で出される食事も風情があり、たいへん美味しかったです。
お風呂は、湯質にこだわり露天風呂を持たず、3つの内湯のみです。
「三宝風呂」-泉質:ナトリウム-塩化物.硫酸塩泉(低張性中性温泉) 泉温:約36.0℃ Ph:6.7 加温していますが、100%源泉かけ流しだそうです。黄土色のにごり湯で、しょっぱい鉄の味、ぬるめの湯温ですが、よく温まり湯ざめしないお湯でした。

白石市には、現在「白石和紙工房」のみで漉かれる「白石和紙」が伝わります。ふくよかに、きよく、うるわしいと平安期の昔、清少納言にも愛用された「陸奥紙」の良質を受け継ぐ白石和紙は、江戸時代に特産品として発展し、表装、書画、写経紙用としてだけでなく、紙子、紙布織としてもその真価を発揮、日本紙利用の最高峰と称されます。
第二次世界大戦、昭和20年(1945年)日本が降伏したとき、戦艦ミズーリでの降伏文書に使われたのは、この白石和紙ですし、また、東大寺の修二会(お水取り)で練行衆が着用する紙衣は、昭和48年(1973年)より白石和紙工房が納めたものを使っています。仕事を見学させていただきたいと思い、寄りましたが、残念ながら工房は休みでした。しかし、遠藤さんとゆっくり話せ、和紙も手に入れて、いろいろ話しを聞くことが出来ました。ありがとうございます。
東北のたおやかな山、古くからの湯治場、人のやさしさに触れ、ゆっくりと暖かい素敵な旅でした。

ステンドグラス工房 スタジオブリス
みちのく 秋田路 Day 3 「秋田駒ケ岳~乳頭山 縦走 vol.3」
乳頭山頂上から360度の眺望を満喫し、今夜の宿 乳頭温泉郷「黒湯温泉」へ降りていきます。寂しいですが、この縦走ももうすぐ終わります。

田代平への木道分岐を過ぎ、一本松沢、黒湯温泉登山口ルートへどんどん降りていきます。

途中から針葉樹、そしてブナ林へと変わり、美しい紅葉のなかを、西に沈み行く陽に向かって歩き続けます。僕らが山に入った時より、樹々の葉はより色づいていました。

木道や木階段など整備されていますが、沢や岩場もあり、下りということもあって、僕の膝は悲鳴を上げ始めます。いつも登りは問題ありませんが、下りがきつく、一歩、一歩気をつかいながら降ります。

硫黄臭が強く感じられ、いよいよ到着かと思いましたが、「一本松沢温泉」でした。運がよければ?熊と混浴だそうです。時間があればゆっくりしたかったですが、手と顔だけ流しました。それでも気持ちは軽くなり、先に進みます。一本松沢は、あちこちから硫黄分を含んだ温泉水が湧きだしています。

膝の痛みに顔を歪めながらも、眼は美しいブナの黄葉に奪われます。うぅぅん、この旅から帰ったら、やっぱり「ストック」を買いに行こう。

降りていくにしたがい、まだ紅葉の始まらない樹が多くなっていきます。先達川を渡り、少し先で黒湯沢を渡ります。人里の気配が濃くなり、だんだん温泉の硫黄臭を強く感じるようになり始め、、、。

終に、生い茂る草とすすきの向こうに、立ちのぼる湯気が見えました。2時間あまり歩き「黒湯温泉」に到着。

延宝2年(1674年)頃発見とされる、その乳白色の湯にゆっくり浸かります。達成感と満足感に満たされ、膝の痛みも疲れも緊張感も溢れる湯とともに流れていきました。
「黒湯温泉」は、乳頭山の麓 標高800mに位置し、乳頭温泉郷の中でも「鶴の湯」に次ぐ歴史があり、鄙びた風情、昔ながらの湯治場の雰囲気を保ち続け、旅館部と自炊部があります。

数件の茅葺き、杉皮葺きの黒い宿舎、湯小屋が軒を連ね、敷地内には源泉が湧き出る河原があります。その向こう側、高台に建つ茅葺きの離れが良い雰囲気です。

内湯が5つ、露天が3つ、露天打たせ湯が3つあります。源泉は、「黒湯上」、「黒湯下」の2つです。
写真は混浴内湯で、この外に混浴露天と打たせ湯もあります。源泉名は「黒湯上」で、泉質:単純硫黄泉(硫化水素型) 泉温:約43.1℃ Ph:4.2 加水されていますが、かけ流しです。苦味のある強い硫黄臭のするお湯でした。

花の山として知られる秋田駒ケ岳、乳頭山は、古より信仰された神々の住まうところだそうです。なるほど、威厳と荒々しさに満ちた「男岳」、神秘的で美しい「馬場の小路」、殺伐とした不毛の地を思わせる「大焼砂」、人を威圧するかのように切り立つ「乳頭山頂上」、厳しい風雪、環境に耐え、息づき広がる様々な高山植物群、 そして稜線に広がるたおやかな山並み。少しの間でもその世界を見て、歩き、感動しました。自然の厳しさと無常さ、暖かさとやさしさを感じます。
しかし、人々に愛されているここの花々さえ減っているそうです。群落が小さくなり、かつては容易にみられた花が姿を消し、絶滅が危惧されている種類もあるそうです。動植物の生態系維持、自然環境の、人間の行いの前での無力さを理解することがとても大切だと、妻と二人、乳白色の露天風呂の中で夜空を見上げながら改めて思いました。
たおやかな山並みと厳しくも暖かい自然、琴線に触れる鄙びた風情の湯治場、そこで暮し、大切に思う人々の心と文化に触れました。
ステンドグラス工房 スタジオブリス

田代平への木道分岐を過ぎ、一本松沢、黒湯温泉登山口ルートへどんどん降りていきます。


途中から針葉樹、そしてブナ林へと変わり、美しい紅葉のなかを、西に沈み行く陽に向かって歩き続けます。僕らが山に入った時より、樹々の葉はより色づいていました。

木道や木階段など整備されていますが、沢や岩場もあり、下りということもあって、僕の膝は悲鳴を上げ始めます。いつも登りは問題ありませんが、下りがきつく、一歩、一歩気をつかいながら降ります。


硫黄臭が強く感じられ、いよいよ到着かと思いましたが、「一本松沢温泉」でした。運がよければ?熊と混浴だそうです。時間があればゆっくりしたかったですが、手と顔だけ流しました。それでも気持ちは軽くなり、先に進みます。一本松沢は、あちこちから硫黄分を含んだ温泉水が湧きだしています。


膝の痛みに顔を歪めながらも、眼は美しいブナの黄葉に奪われます。うぅぅん、この旅から帰ったら、やっぱり「ストック」を買いに行こう。

降りていくにしたがい、まだ紅葉の始まらない樹が多くなっていきます。先達川を渡り、少し先で黒湯沢を渡ります。人里の気配が濃くなり、だんだん温泉の硫黄臭を強く感じるようになり始め、、、。


終に、生い茂る草とすすきの向こうに、立ちのぼる湯気が見えました。2時間あまり歩き「黒湯温泉」に到着。

延宝2年(1674年)頃発見とされる、その乳白色の湯にゆっくり浸かります。達成感と満足感に満たされ、膝の痛みも疲れも緊張感も溢れる湯とともに流れていきました。
「黒湯温泉」は、乳頭山の麓 標高800mに位置し、乳頭温泉郷の中でも「鶴の湯」に次ぐ歴史があり、鄙びた風情、昔ながらの湯治場の雰囲気を保ち続け、旅館部と自炊部があります。


数件の茅葺き、杉皮葺きの黒い宿舎、湯小屋が軒を連ね、敷地内には源泉が湧き出る河原があります。その向こう側、高台に建つ茅葺きの離れが良い雰囲気です。


内湯が5つ、露天が3つ、露天打たせ湯が3つあります。源泉は、「黒湯上」、「黒湯下」の2つです。
写真は混浴内湯で、この外に混浴露天と打たせ湯もあります。源泉名は「黒湯上」で、泉質:単純硫黄泉(硫化水素型) 泉温:約43.1℃ Ph:4.2 加水されていますが、かけ流しです。苦味のある強い硫黄臭のするお湯でした。

花の山として知られる秋田駒ケ岳、乳頭山は、古より信仰された神々の住まうところだそうです。なるほど、威厳と荒々しさに満ちた「男岳」、神秘的で美しい「馬場の小路」、殺伐とした不毛の地を思わせる「大焼砂」、人を威圧するかのように切り立つ「乳頭山頂上」、厳しい風雪、環境に耐え、息づき広がる様々な高山植物群、 そして稜線に広がるたおやかな山並み。少しの間でもその世界を見て、歩き、感動しました。自然の厳しさと無常さ、暖かさとやさしさを感じます。
しかし、人々に愛されているここの花々さえ減っているそうです。群落が小さくなり、かつては容易にみられた花が姿を消し、絶滅が危惧されている種類もあるそうです。動植物の生態系維持、自然環境の、人間の行いの前での無力さを理解することがとても大切だと、妻と二人、乳白色の露天風呂の中で夜空を見上げながら改めて思いました。
たおやかな山並みと厳しくも暖かい自然、琴線に触れる鄙びた風情の湯治場、そこで暮し、大切に思う人々の心と文化に触れました。
ステンドグラス工房 スタジオブリス
みちのく 秋田路 Day 3 「秋田駒ケ岳~乳頭山 縦走 vol.2」
山で迎える朝は、気持ちがいいです。コーヒーを淹れ、朝食をすませ、7:00頃出発しました。阿弥陀池をあとに男岳に向かいます。

男岳から横岳に連なる稜線、分岐を「ムーミン谷」へ降りていきます。管理のおじさんの言うとおり、女岳頂上付近から湯気がたっています。

この谷は、「ムーミン谷」の他に「花の谷」「神々の箱庭」とも形容され、春から夏にかけて、チングルマや、この辺りが南限とされるエゾツツジ、ヒナザクラの見事な大群落が見られるそうです。歩いていると、とても神秘的で美しい、不思議な空間です。

縦走路の多くの箇所は、木道が敷設されています。素晴らしく、そしてありがたい事です。人が歩いた後は窪みになり、それは水を集めて川のようになる。すると歩きにくいのでその脇を歩く。そうして繰り返されどんどん窪みは拡大していきます。これは周囲の乾燥化を招き、植物の生態系を壊すことになります。動植物の生態系維持にとって、人間の存在は迷惑なだけでしょう。「Leave no trace」をいつも心がけています。

「大焼砂分岐」に登り、大焼砂、砂礫の稜線を横岳頂上へ。この縦走路は、秋田県と岩手県の県境上にあり、両県を行ったり来たりです。

阿弥陀池小屋から2時間ほどで、「横岳頂上」(1583m)に。

横岳頂上から南西を望めば、大焼砂、横長根と続く国見温泉への稜線、ムーミン谷の小岳、そして女岳の後ろには、田沢湖が見えます。

横岳頂上からゆるく下り、「焼森頂上」(1551m)。

湯森山を目指し、開けた台地ののびやかな稜線を進みます。 時折振り返ると、駒ケ岳は遠く離れていき、阿弥陀池小屋も小さくやっと確認出来る程度です。


横岳頂上から約1時間30分で、「湯森山頂上」(1471m)到着。

湯森山から歩き始めるとやがて視界が開け、木道が敷かれた湿原「熊見平」にでます。しばらく行くといったん木道は終わり、ハイマツに囲まれた巨岩群「宿岩」があります。そしてまた木道になり、しばらく湿原を歩きます。

木道もおわり、やがて岩礫の道になり、頂上かと思うようなピークを幾つか越えます。その一つに、厚さ10mm程で皮が剥けるように、表面が割れる石が、その一帯だけに広がる不思議な箇所があります。2時間弱で「笊森山頂上」(1541m)に到着。

ここの眺望は素晴らしく、この天上の世界を歩き、立つ喜びを改めて感じます。秋田駒ケ岳は遥か遠くになり、北東には岩手山が望めます。そして乳頭山は目前です。秋田県側からは「乳頭山」、岩手県側からは「烏帽子岳」といわれます。

さぁ、今回の縦走 最後の頂「乳頭山」へ。

途中、幾つもの美しい「池塘」を見ることができます。

その頂は、輝石安山岩が垂直に切り立ち、気分はちょっとしたアルピニストです。(プププッ)

そして「乳頭山頂上」(1477m)に1時間30分程で到着。

秋田駒ケ岳は遥か遠くに霞み、この稜線が雲を分けるのか、秋田県側は晴天でした。

ここから黒湯温泉へは、約4km程で、一本松沢沿いをブナ林のなか気持ちよくのんびり下って行くだけと思っていました。しかし実際は、かなり長い急降で、膝の悪い僕にとって今回の縦走唯一の長くつらい苦行のようでした。
「Vol.3 に続く。」
ステンドグラス工房 スタジオブリス

男岳から横岳に連なる稜線、分岐を「ムーミン谷」へ降りていきます。管理のおじさんの言うとおり、女岳頂上付近から湯気がたっています。


この谷は、「ムーミン谷」の他に「花の谷」「神々の箱庭」とも形容され、春から夏にかけて、チングルマや、この辺りが南限とされるエゾツツジ、ヒナザクラの見事な大群落が見られるそうです。歩いていると、とても神秘的で美しい、不思議な空間です。

縦走路の多くの箇所は、木道が敷設されています。素晴らしく、そしてありがたい事です。人が歩いた後は窪みになり、それは水を集めて川のようになる。すると歩きにくいのでその脇を歩く。そうして繰り返されどんどん窪みは拡大していきます。これは周囲の乾燥化を招き、植物の生態系を壊すことになります。動植物の生態系維持にとって、人間の存在は迷惑なだけでしょう。「Leave no trace」をいつも心がけています。


「大焼砂分岐」に登り、大焼砂、砂礫の稜線を横岳頂上へ。この縦走路は、秋田県と岩手県の県境上にあり、両県を行ったり来たりです。


阿弥陀池小屋から2時間ほどで、「横岳頂上」(1583m)に。


横岳頂上から南西を望めば、大焼砂、横長根と続く国見温泉への稜線、ムーミン谷の小岳、そして女岳の後ろには、田沢湖が見えます。

横岳頂上からゆるく下り、「焼森頂上」(1551m)。


湯森山を目指し、開けた台地ののびやかな稜線を進みます。 時折振り返ると、駒ケ岳は遠く離れていき、阿弥陀池小屋も小さくやっと確認出来る程度です。



横岳頂上から約1時間30分で、「湯森山頂上」(1471m)到着。


湯森山から歩き始めるとやがて視界が開け、木道が敷かれた湿原「熊見平」にでます。しばらく行くといったん木道は終わり、ハイマツに囲まれた巨岩群「宿岩」があります。そしてまた木道になり、しばらく湿原を歩きます。


木道もおわり、やがて岩礫の道になり、頂上かと思うようなピークを幾つか越えます。その一つに、厚さ10mm程で皮が剥けるように、表面が割れる石が、その一帯だけに広がる不思議な箇所があります。2時間弱で「笊森山頂上」(1541m)に到着。


ここの眺望は素晴らしく、この天上の世界を歩き、立つ喜びを改めて感じます。秋田駒ケ岳は遥か遠くになり、北東には岩手山が望めます。そして乳頭山は目前です。秋田県側からは「乳頭山」、岩手県側からは「烏帽子岳」といわれます。

さぁ、今回の縦走 最後の頂「乳頭山」へ。


途中、幾つもの美しい「池塘」を見ることができます。

その頂は、輝石安山岩が垂直に切り立ち、気分はちょっとしたアルピニストです。(プププッ)


そして「乳頭山頂上」(1477m)に1時間30分程で到着。

秋田駒ケ岳は遥か遠くに霞み、この稜線が雲を分けるのか、秋田県側は晴天でした。

ここから黒湯温泉へは、約4km程で、一本松沢沿いをブナ林のなか気持ちよくのんびり下って行くだけと思っていました。しかし実際は、かなり長い急降で、膝の悪い僕にとって今回の縦走唯一の長くつらい苦行のようでした。
「Vol.3 に続く。」
ステンドグラス工房 スタジオブリス
みちのく 秋田路 Day 2 「秋田駒ケ岳~乳頭山 縦走 vol.1」
朝目覚めると、温泉効果で心も体もすっきりと軽く快調でした。気分も天気もいいです。朝食もおいしくいただき、「鶴の湯」を後にします。
そして、乳頭温泉郷最奥の「黒湯温泉」に行きます。草紅葉も美しい「秋田駒ケ岳」から「乳頭山」へ2日かけて縦走し、「黒湯温泉」に泊まる予定です。駐車も心良く了承していただきました。帰ってくるのが楽しみです。
「秋田駒ケ岳」は、十和田八幡平国立公園の南端にある秋田県第一の高峰で、本峰の「男岳」(おだけ)1623m、火口丘の「女岳」(めだけ)1512m、側火山(寄生火山)の「男女岳」(女目岳)(おなめだけ)1637mからなり、「花の山」といわれ、高山植物の宝庫です。約北緯40度ラインに位置する事と、「やませ」と呼ばれるオホーツク海気団より吹く冷たく湿った北東風、東風と地球規模の歴史とあいまって、北アルプスの3000m級の山にしか見られない山の花々や高山植物の楽園が創られたと考えられています。
6月~10月の土、日、祝日と6月17日~8月20日の平日、マイカー規制があり、バスが運行されますが、それ以外の時は、自分の車かタクシーで行くしかありません。ですから、タクシーで八合目登山口まで行きます。乳頭温泉郷からだと定額制で、6,620円です。R127駒ケ岳線は、細く曲がりくねったハードな道で、カーブミラーには番号が付けてあります。最初は65番、これを1番まで登って行けば八合目に到着です。
縦走コースは、「八合目小屋」~「阿弥陀池小屋」~「大焼砂分岐」~「横岳」~「湯森山」~「笊森山(ざるもりやま)」~「乳頭山」~「黒湯温泉」 阿弥陀池小屋に一泊します。
下の方は快晴でしたが、「山は、雲の出来る場所」といわれるとおり、八合目までくると雲が多くかかっていました。

「片倉岳展望台」を目指して登ります。ハードでもなくいい感じの登りで、景色もどんどん遠くなっていきます。

30分程で、酸化鉄を多く含んだ赤い土の開けた場所、「片倉岳展望台」(1440m)に到着。そして、田沢湖を眺めながら「阿弥陀池」へ。ここからはもうたいした起伏もなく、途中からは木道になりのんびり歩きます。


男岳と男女岳のコルに位置する「阿弥陀池」(1535m)に30分程で到着。

そして今夜の宿、池のほとりに建つ避難小屋「阿弥陀池小屋」へ。立派で素晴らしい小屋です。水洗のトイレも隣接していますし、少し離れたところに「水場」があり重宝します。全てとてもきれいに管理されています。(水場は、雨量が少ないと涸れることもあるそうです。)無料で利用できますが、募金箱に募金します。

小屋のなかに荷物を降ろし、「男岳頂上」を往復します。阿弥陀池周辺だけ霧がかからず、周りの男岳、男女岳、横岳は、雲が下から上がってきて周りが見えません。阿弥陀池の木道から、男岳にむかって登りだすと間もなく男岳、横岳に連なる稜線に出ます。そして20分も登れば「男岳頂上」(1623m)です。それは、山岳信仰にふさわしく威厳と荒々しさに満ち、頂上には駒形神を祭る石の祠があります。

頂上に登ると、なんと雲が晴れてきました。風に流され少しずつ下の視界が開けていきます。

そして眼下に映ったのは、男岳、女岳、横岳に囲まれた火口原、(霧につつまれた中、神の乗った馬が駆け抜ける蹄の音がする。という伝説から名づけられた)「馬場の小道」、通称「ムーミン谷」。ササとハイマツのグリーンのグラデェイション、点在する紅や黄色の紅葉、ファンタジーなその雰囲気、メルヘンでもあり、本当にムーミンやスナフキンでもいそうな谷です。その情景に感激しました。

小屋に戻り、「浄土平」を見ながらランチにします。小屋を管理しているおじさんと、ゆっくり話せました。毎日登ってきて、トイレや小屋の掃除、ゴミを持って帰ったり、管理しているそうです。今年の紅葉は、夏暑すぎたせいか、例年より紅が少ないそうです。「今夜、小屋に泊まります。」と言ったら、とてもうれしそうな顔で「いいねぇ。」と笑ってくれました。「女岳は、約40年周期で噴火していて、前回が昭和45年(1970年)だったので、もしかするとそろそろかなぁ。地表温度も90℃ぐらいになっていて湯気が立ってるよ、見た?」と言われました。「今度は、春においで、春もきれいだから。」と言って、おじさんは、降りて行きました。ありがとうございます、おかげで快適に過ごせます。

阿弥陀池周辺には、木道の上や、石の上にたくさんバッタがいます。木道の隙間や割れ目にお尻を隠して動かず、ボヤッしているので、うっかりすると踏んでしまいます。実際、かなり踏まれていました。かわいそうなので、気をつけて歩きます。羽が退化して飛べなくなった「ハヤチネフキバッタ」というそうです。

この日泊まったのは僕らだけで、小屋も阿弥陀池も貸切りでした。とても静かな山の夜でした。 ’10/10/6
ステンドグラス工房 スタジオブリス
そして、乳頭温泉郷最奥の「黒湯温泉」に行きます。草紅葉も美しい「秋田駒ケ岳」から「乳頭山」へ2日かけて縦走し、「黒湯温泉」に泊まる予定です。駐車も心良く了承していただきました。帰ってくるのが楽しみです。
「秋田駒ケ岳」は、十和田八幡平国立公園の南端にある秋田県第一の高峰で、本峰の「男岳」(おだけ)1623m、火口丘の「女岳」(めだけ)1512m、側火山(寄生火山)の「男女岳」(女目岳)(おなめだけ)1637mからなり、「花の山」といわれ、高山植物の宝庫です。約北緯40度ラインに位置する事と、「やませ」と呼ばれるオホーツク海気団より吹く冷たく湿った北東風、東風と地球規模の歴史とあいまって、北アルプスの3000m級の山にしか見られない山の花々や高山植物の楽園が創られたと考えられています。
6月~10月の土、日、祝日と6月17日~8月20日の平日、マイカー規制があり、バスが運行されますが、それ以外の時は、自分の車かタクシーで行くしかありません。ですから、タクシーで八合目登山口まで行きます。乳頭温泉郷からだと定額制で、6,620円です。R127駒ケ岳線は、細く曲がりくねったハードな道で、カーブミラーには番号が付けてあります。最初は65番、これを1番まで登って行けば八合目に到着です。
縦走コースは、「八合目小屋」~「阿弥陀池小屋」~「大焼砂分岐」~「横岳」~「湯森山」~「笊森山(ざるもりやま)」~「乳頭山」~「黒湯温泉」 阿弥陀池小屋に一泊します。
下の方は快晴でしたが、「山は、雲の出来る場所」といわれるとおり、八合目までくると雲が多くかかっていました。


「片倉岳展望台」を目指して登ります。ハードでもなくいい感じの登りで、景色もどんどん遠くなっていきます。


30分程で、酸化鉄を多く含んだ赤い土の開けた場所、「片倉岳展望台」(1440m)に到着。そして、田沢湖を眺めながら「阿弥陀池」へ。ここからはもうたいした起伏もなく、途中からは木道になりのんびり歩きます。



男岳と男女岳のコルに位置する「阿弥陀池」(1535m)に30分程で到着。

そして今夜の宿、池のほとりに建つ避難小屋「阿弥陀池小屋」へ。立派で素晴らしい小屋です。水洗のトイレも隣接していますし、少し離れたところに「水場」があり重宝します。全てとてもきれいに管理されています。(水場は、雨量が少ないと涸れることもあるそうです。)無料で利用できますが、募金箱に募金します。


小屋のなかに荷物を降ろし、「男岳頂上」を往復します。阿弥陀池周辺だけ霧がかからず、周りの男岳、男女岳、横岳は、雲が下から上がってきて周りが見えません。阿弥陀池の木道から、男岳にむかって登りだすと間もなく男岳、横岳に連なる稜線に出ます。そして20分も登れば「男岳頂上」(1623m)です。それは、山岳信仰にふさわしく威厳と荒々しさに満ち、頂上には駒形神を祭る石の祠があります。


頂上に登ると、なんと雲が晴れてきました。風に流され少しずつ下の視界が開けていきます。


そして眼下に映ったのは、男岳、女岳、横岳に囲まれた火口原、(霧につつまれた中、神の乗った馬が駆け抜ける蹄の音がする。という伝説から名づけられた)「馬場の小道」、通称「ムーミン谷」。ササとハイマツのグリーンのグラデェイション、点在する紅や黄色の紅葉、ファンタジーなその雰囲気、メルヘンでもあり、本当にムーミンやスナフキンでもいそうな谷です。その情景に感激しました。

小屋に戻り、「浄土平」を見ながらランチにします。小屋を管理しているおじさんと、ゆっくり話せました。毎日登ってきて、トイレや小屋の掃除、ゴミを持って帰ったり、管理しているそうです。今年の紅葉は、夏暑すぎたせいか、例年より紅が少ないそうです。「今夜、小屋に泊まります。」と言ったら、とてもうれしそうな顔で「いいねぇ。」と笑ってくれました。「女岳は、約40年周期で噴火していて、前回が昭和45年(1970年)だったので、もしかするとそろそろかなぁ。地表温度も90℃ぐらいになっていて湯気が立ってるよ、見た?」と言われました。「今度は、春においで、春もきれいだから。」と言って、おじさんは、降りて行きました。ありがとうございます、おかげで快適に過ごせます。

阿弥陀池周辺には、木道の上や、石の上にたくさんバッタがいます。木道の隙間や割れ目にお尻を隠して動かず、ボヤッしているので、うっかりすると踏んでしまいます。実際、かなり踏まれていました。かわいそうなので、気をつけて歩きます。羽が退化して飛べなくなった「ハヤチネフキバッタ」というそうです。

この日泊まったのは僕らだけで、小屋も阿弥陀池も貸切りでした。とても静かな山の夜でした。 ’10/10/6
ステンドグラス工房 スタジオブリス